お知らせ令和7年度5月学長記者会見
令和7年度5月学長記者会見
- 日時
- 2025-0519
- 場所
- 県庁記者会見室

▲説明をする北野学長
【事項1】医学部附属病院看護部初!株式会社資生堂との受託研究の成果が国際学術雑誌に掲載決定
本学医学部と株式会社資生堂との受託研究の成果が国際学術誌「Journal of Cancer Therapy」に掲載されることが決定しました。
本研究は、がん患者の生活の質を向上させる化学療法の副作用に対する化粧療法の効果について研究したものです。
化粧療法は、疾病、障がいや外見の悩みに対してスキンケア・専用化粧品を用いたメイクなどの化粧行為を通じて心身機能・QOL維持向上を目的としています。がん治療によって生じた外見変化(脱毛、皮膚色素沈着など)に苦しむがん患者のQuality of Life(QOL)を向上する可能性があり、その有効性を検討する臨床研究を行いました。
本学医学部では2022年4月より株式会社資生堂の受託研究として、看護部が主体となり臨床研究を開始しました。
抗がん剤治療による外見変化(眉毛・睫毛脱毛、皮膚色素沈着)を生じた患者20名を対象として、化粧療法技術を習得した看護師が技術指導を行ったうえ、アンケート調査を実施しました。
本研究では、がん患者に対する化粧療法によって、抗がん剤による外見変化から生じた負の感情が改善され、QOLにおける効果が示されました。
化粧療法は、がん治療に伴う外見の変化に対する支援的介入として導入できる手段であり、患者のQOLの向上に寄与することが期待されます。
【論文情報】
- タイトル:Effects of cosmetic therapy on cosmetic side effects of chemotherapy to improve the quality of life of cancer patients
がん患者の生活の質を向上させるための、化学療法に伴う美容上の副作用に対する化粧療法の効果 - 著者:Akiko Hatanaka, Yohei Kono, Hiromi Ueno, Masako Kariu, Mina Yawata, Miyuki Murata, Mika Fujiwara, Kaoru Okame, Ikuyo Arakane, Chiho Tomimatsu, Yuiko Nagasawa, Takahiro Hiratsuka, Satoshi Otsu, Yasushi Kawano, Masao Ogata, Yutaka Hatano, Shizuyo Tominaga,Masafumi Inomata
- 掲載誌:Journal of Cancer Therapy
がん治療の進歩や通院治療環境の整備により、治療を継続しながら社会生活を送るがん患者が増えた現代において、皮膚障害による外見変化は多くの患者のQOLを低下させることが認識されています。
【研究の特色】
- 都道府県がん拠点病院および特定機能病院に指定されている大分大学医学部附属病院と、化粧品をはじめ美容、教育のわが国のリーディングカンパニーである株式会社資生堂とがコラボした受託研究
- 化粧療法の技術を学んだがんに関する専門的知識を持つ看護師による前向き臨床比較試験にて質の高い客観的評価を実施
- がん患者における化粧療法の有用性に関する研究報告は世界的にもほとんど無く、本研究成果が国際学術誌に掲載されたことで、わが国をはじめ国際的にもがん患者のルックスケア向上に大いに貢献
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【事項2】臨床ビッグデータとAIを活用した新たな治療薬探索技術を開発
~皮膚疾患で効果を実証、幅広い病態への応用に期待~
大分大学医学部皮膚科学講座の酒井貴史講師、波多野豊教授、大分大学医学部薬理学講座の石崎敏理教授、名古屋大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻生命情報論講座の山西芳裕教授らの研究グループの論文が、令和7年(2025年)4月26日に皮膚科学分野の国際英文誌である「Journal of Dermatological Science」に掲載されました。
本研究グループは数千万件に及ぶ臨床データから乾癬(かんせん)※1 の予防薬候補を予測し、さらに予測された数百種類もの候補薬剤について、共通構造をAI(機械学習)によって解析することで、乾癬に対する新たな治療標的を探索しました。
その結果、パーキンソン病治療薬が乾癬の予防薬候補として浮上し、ドーパミン受容体の一種であるDRD2(dopamine receptor D2)が乾癬の新たな治療標的として予測されました。
そして、実際にDRD2作動薬を乾癬モデルマウスに投与することで乾癬の発症が予防され、乾癬の新たな病態機序がAI技術を通じて明らかとなりました。
今回開発された解析手法は、乾癬や皮膚疾患にとどまらず、今後、幅広い疾患への応用や、創薬の促進につながることが期待されます。
※1:乾癬(かんせん):皮膚に赤く盛り上がった皮疹と白色の鱗屑(かさぶた状のもの)を特徴とする慢性の炎症性皮膚疾患。
乾癬の有病率は、人口のおよそ0.1-1.5%で、日本の患者数は約43万人との報告あり。
【論文概要】
- 掲載誌:Journal of Dermatological Science
- 論文名:Big data-driven target identification by machine learning: DRD2 as a therapeutic target for psoriasis
ビッグデータと機械学習による治療標的探索:乾癬の新たな治療標的候補DRD2の発見 - 著者:酒井貴史、澤田隆介、一ノ瀬音葉、寺林健、波多野豊、山西芳裕、石崎敏理
DOI: 10.1016/j.jdermsci.2025.04.012
URL: https://www.jdsjournal.com/article/S0923-1811(25)00068-4/fulltext
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【事項3】「5月31日は世界禁煙デー」タバコのない大学キャンパス実現 に向けた大分大学の取組及び成果
5月31日はWHO(世界保健機関)が定める世界禁煙デーであり、我が国でも5月31日~6月6日は厚生労働省が定めた禁煙週間です。
禁煙週間を迎えるにあたり、本学の無煙環境構築に向けた最近の取組及び成果をご紹介します。
本学の取組は以下のとおりです。本学では、積極的に禁煙活動に取り組んでおり、平成27年度からは以下の取組も行っています。
【クリアファイル及びのぼりの作成】
本学学生を対象に公募を実施し(公募期間:令和6年10月30日~令和7年1月31日)、応募のあったデザイン6件、標語9件の中から採用作品各1点を決定し、クリアファイルとのぼりを作成しました。のぼりは構内各所に設置し、禁煙に関する啓発を行っています。クリアファイルは学生・教職員に配付しています。
【学生の表彰について】
クリアファイルとのぼりの採用作品を作成した学生の表彰を以下のとおり実施しました。
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【成果について】
このような取組の結果、平成25年度から令和6年度までの12年間で学生の喫煙率が旦野原キャンパスは7.0%から4.8%、挾間キャンパスは3.2%から0.8%と改善されました。
▶ 大分大学の無煙環境構築のこれまでの取組
その他の情報
【事項1】学生・留学生支援課、減災・復興デザイン教育研究セン ター主催
「令和7年度学生災害ボランティア講習会」
大分大学学生・留学生支援課と大分大学減災・復興デザイン教育研究センター(CERD)では、災害復旧における学生ボランティアの育成事業として「学生災害ボランティア講習会」を定期的に開催しています。
6月~10月の洪水や水害の危険性が高まる出水期を控え、平時における災害への備えも含み、事前の防災意識の向上を目的に本学学生を対象とした講習会を開催します。
本講習会では、NPO法人リエラ代表理事(大分大学OB) 松永鎌矢 氏からボランティア活動への心構えや注意事項をお話しいただき、大分大学 学生CERD 池田秀翔さん(経済学部4年)から過去に参加したボランティア体験談などを紹介する予定です。
※本学の学生が災害ボランティアとして被災地で活動する場合は、本講習会の受講が必須となります。
※過去に受講した本学学生についても、本年度に活動予定であれば受講が必要です。
5月28日は、スーパーボランティアの尾畠春夫(おばたはるお)さんをお迎えし、「土のうつくり講座」を開催します。
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【事項2】大分県の大学・短期大学の学生集まれ! 就職イベント「2025シゴト発見フェスタ」を開催
本イベントは、本学が中心となって運営する「おおいた地域連携プラットフォーム(会長:北野正剛大分大学長)」の主催により開催するもので、大分県内の大学1年生から3年生、短期大学1年生を対象に、一般的な企業説明会ではなく学生が自分にピッタリ合うシゴト(業種・職種)を見つけることを目的とした「シゴト説明会」として実施しています。
これにより、学生が企業名や条件だけではなく、仕事内容から就職先を検討できるようにすることで職業選択の視野を広げ、就職後のミスマッチングを防ぐこと、また、県内企業や自治体の認知度を上げ、学生との接点を増やすことを目的とした就職イベントとなっています。
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(参考)昨年度参加実績
- 参加大学:大分大学、日本文理大学、立命館アジア太平洋大学、大分県立芸術文化短期大学、別府大学・別府大学短期大学部、別府溝部学園短期大学など
- 参加学生:約300名
- 出展機関:地元企業・団体51機関
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【事項3】大分大学公開講座5「授業作りを基礎から学ぶ国語塾I」
「自分らしい授業」を作れるようになるための初級者向け基礎講座を開講します。国語科教科書の活用方法と指導案の書き方の基礎を学ぶことができます。教職スキルアップとしてぜひご利用ください。
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【事項4】大分大学公開講座「小学生のためのロボットプログラミング教室」
プログラミングの基礎、プログラミングの応用、課題解決の3ステップを通して段階的に学べます。
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【事項5】大分大学公開講座「宇宙エレベーターロボットを作って動かそう」
プログラミングアプリの基本、宇宙エレベーターロボットの構造、ロボコン形式で「決まった時間で荷物をどれだけ運べるか」を学習しよう!
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【事項6】活き²プロジェクト2025
大分大学活き²プロジェクトは、本学の学生が自ら企画・運営するプログラムに必要な活動資金を本学がサポートするものです。
やる気とアイデアさえあれば企画内容は自由ですので、ぜひチャレンジしてください。
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